アシナガバチ駆除は自分で可能?安全な方法、危険性・費用目安【専門家監修】

家の周りやベランダで見かけるアシナガバチ。
放置しておくと刺される危険性もあり、早めの対処が必要です。
しかし、いざ駆除となると「自分でできるの?」「危険はないの?」と不安に思う方も多いでしょう。
この記事では、アシナガバチの駆除方法について、自分で安全に行う手順から、危険性、専門業者に依頼すべきケース、費用相場、さらにはアシナガバチの習性や予防策まで詳しく解説します。
自治体によっては、原則としてハチの駆除は行っていない場合が多く、巣がある場所の管理者が対処する必要があることも知っておきましょう(堺市ホームページより)。
正しい知識を身につけて、安全かつ確実にアシナガバチのトラブルを解決しましょう。

目次

自分でアシナガバチを安全に駆除する方法

アシナガバチの巣がまだ小さく、手の届く場所にあれば、ご自身で駆除することも可能です。
しかし、安全には最大限配慮し、正しい手順で行うことが重要です。

アシナガバチ駆除に必要な道具と準備

安全にアシナガバチを駆除するためには、以下の道具を準備しましょう。

  • 防護服・帽子・手袋・長靴: 蜂の針が通らない厚手のものを用意します。
    肌の露出をなくすことが最も重要です。
    顔や首を保護するために、防虫ネット付きの帽子やゴーグルも有効です。
  • 蜂駆除用スプレー(殺虫剤): アシナガバチ専用、または蜂専用の強力なジェット噴射タイプの殺虫スプレーを用意します。
    できれば予備も含めて2本以上あると安心です。
    風上から巣全体に薬剤がかかるように、数メートル離れた場所からでも噴射できるタイプを選びましょう。
    例えば、久喜市のホームページでは「スプレー式殺虫剤は薬剤が3から5mほど飛ぶ蜂駆除用を選ぶ」と推奨されています(久喜市ホームページより)。
  • 長い棒: 駆除後に巣を落とす際に使用します。
    直接手で触るのは危険です。
  • ゴミ袋: 駆除した巣や蜂の死骸を入れるための厚手のものを用意します。
  • 懐中電灯: 暗い場所や夜間に作業する場合に必要です。
    赤いセロファンを貼ると蜂を刺激しにくいと言われています。

準備のポイント:

  • 作業前に、薬剤の使い方や注意点をよく読んで理解しておきましょう。
  • 駆除作業は一人で行わず、万が一の場合に備えて、離れた場所にもう一人待機してもらうとより安全です。
  • 近隣住民へ事前に声をかけておくと、トラブルを避けられます。

安全な駆除手順(スプレーの活用)

  1. 服装の確認: 防護服をしっかりと着用し、肌が露出していないか、隙間がないかを確認します。
  2. 風向きの確認: 必ず風上に立ち、スプレーが自分にかからないように注意します。
  3. 巣への接近と噴射: 巣から2~3メートル離れた場所から、巣の表面全体と巣穴に向けて、蜂駆除用スプレーを20~30秒ほど連続で噴射します。
    巣の中にいる蜂や、巣の周りを飛んでいる蜂にも薬剤がかかるようにします。
  4. 蜂の活動が止まるのを待つ: スプレー後、蜂が巣から落ちてきたり、動きが鈍くなったりします。
    完全に活動が止まるまで、1時間程度は巣に近づかず様子を見ます。
    この間、周囲に蜂が飛んでいないかも確認しましょう。
  5. 巣の撤去: 蜂の活動が完全になくなったことを確認したら、長い棒を使って巣を落とします。
    落ちた巣や蜂の死骸は、直接手で触らず、ほうきとちりとり、または火バサミなどで集めてゴミ袋に入れます。
  6. 再発防止: 巣があった場所やその周辺にも、念のため殺虫スプレーを吹きかけておくと、戻り蜂による巣の再建を防ぐ効果が期待できます。

駆除に最適な時期と時間帯

アシナガバチの駆除に適した時期と時間帯があります。

  • 時期: アシナガバチの活動が活発になる前の春先(4月~5月頃)が最も安全で効果的です。
    この時期は女王蜂が一匹で巣作りを始めたばかりで、巣も小さく働き蜂の数も少ないため、比較的安全に駆除できます。
    夏から秋にかけては働き蜂の数が増え、攻撃性も高まるため、専門業者への依頼を検討しましょう。
  • 時間帯: アシナガバチは夜間になると巣に戻り活動が鈍くなるため、日没後2~3時間経過した暗い時間帯が駆除に適しています。
    久喜市のホームページでも「駆除は、アシナガバチの活動が鈍る朝方や夕方・夜間」に行うことが推奨されています(久喜市ホームページより)。
    ただし、暗闇での作業は危険も伴うため、足元や周囲の安全を十分に確認し、懐中電灯(赤いセロファンを推奨)で照らしながら慎重に行いましょう。
    早朝も比較的活動が少ない時間帯です。

駆除後の巣の処理方法

駆除後の巣は、そのまま放置すると他の蜂が利用したり、残った卵や幼虫が孵化したりする可能性があるため、適切に処理する必要があります。

  1. 死骸の確認: 巣の周囲や内部に、まだ生きている蜂がいないか十分に確認します。
  2. 袋詰め: 巣と蜂の死骸を、厚手のゴミ袋に慎重に入れます。
    二重にするとより安全です。
  3. 密封と殺虫剤: 袋の口をしっかりと縛り、念のため袋の中に殺虫スプレーを再度噴射しておくと良いでしょう。
  4. 処分: 可燃ごみとして、自治体のルールに従って処分します。

注意点: 駆除後数日間は、巣があった場所に戻ってくる「戻り蜂」がいる可能性があります。
近づかないようにし、見かけたら再度殺虫スプレーで駆除するか、自然にいなくなるのを待ちましょう。

自分でアシナガバチ駆除を行う際の危険性と注意点

アシナガバチは比較的おとなしい性格と言われますが、巣を守るためには攻撃的になり、刺されると強い痛みを伴い、アナフィラキシーショックを引き起こす危険性もあります。
自分で駆除を行う際は、以下の点に十分注意してください。

アシナガバチに刺されるリスクとその対処法

アシナガバチに刺されると、激しい痛み、腫れ、かゆみなどの症状が現れます。
万が一刺されてしまった場合は、落ち着いて以下の対処法を行いましょう。

  1. 安全な場所へ避難: まずはその場から速やかに離れ、他の蜂に襲われないようにします。
  2. 毒針を抜く: 針が残っている場合は、毛抜きや爪などでそっと抜き取ります。
    指でつまむと毒嚢を押しつぶし、さらに毒を注入してしまう可能性があるので注意が必要です。
  3. 患部を洗い流す: 流水で患部をよく洗い流し、毒液を薄めます。
  4. 毒を絞り出す: 患部をつまんで毒を絞り出します。
    専用のポイズンリムーバーがあれば活用しましょう。
    口で吸い出すのは、口内に傷があるとそこから毒が入る危険性があるため避けてください。
  5. 抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を塗る: 炎症やアレルギー反応を抑えるために、市販の抗ヒスタミン成分やステロイド成分を含む軟膏を塗布します。
  6. 患部を冷やす: 濡れタオルや保冷剤などで患部を冷やし、腫れや痛みを和らげます。
  7. 安静にする: 安静にし、体調の変化に注意します。

アナフィラキシーショックの症状が出た場合:

めまい、吐き気、呼吸困難、意識障害などの症状が現れた場合は、アナフィラキシーショックの可能性があります。直ちに救急車を呼び、医療機関を受診してください。
過去に蜂に刺されたことがある人は、症状が重くなる傾向があるため特に注意が必要です。

アシナガバチ駆除で「やってはいけないこと」

安全な駆除のため、以下の行為は絶対に避けましょう。

  • 巣に直接近づきすぎる・刺激する: 蜂を興奮させ、攻撃される原因になります。
    棒で叩いたり、石を投げたりするのも危険です。
  • 大声を出したり、急な動きをする: 蜂は音や動きに敏感です。
    静かに、ゆっくりと行動しましょう。
  • 黒い服やひらひらした服を着用する: 蜂は黒いものを攻撃対象と認識しやすく、ひらひらしたものは蜂が絡みつきやすいため危険です。
    白い服装が推奨されます。
  • 香水や整髪料など匂いの強いものを身につける: 蜂は匂いに敏感で、興奮させることがあります。
  • 殺虫剤以外のものを使用する(例: 掃除機、水、火など): 蜂を刺激し、反撃される可能性が高まります。
    また、火を使うのは火災の危険性があるため絶対にやめましょう。
  • 風下からのスプレー噴射: 薬剤が自分にかかってしまい危険です。
  • 夜間に照明を直接巣に当てる: 蜂が光に向かって飛んでくる可能性があります。
    赤いセロファンを貼るなど工夫しましょう。

どのような場合に自分で駆除できるか?

以下の条件を満たす場合は、ご自身での駆除を検討しても良いでしょう。
しかし、少しでも不安を感じる場合は、無理せず専門業者に依頼することをおすすめします。

  • 巣の大きさが直径15cm未満である。
  • 巣の場所が手の届く高さ(地上から3m程度まで)で、作業スペースが確保できる。
  • アシナガバチの活動が比較的穏やかな春先(4月~5月頃)である。
  • 適切な防護服や駆除道具を準備できる。
  • これまでに蜂に刺された経験がない、またはアレルギー体質ではない。
  • 周囲に人がいない、または避難できる状況である。

専門業者にアシナガバチ駆除を依頼すべきケース

アシナガバチの駆除は危険を伴うため、以下のような場合は無理せず専門業者に依頼することを強く推奨します。

巣が大きい、場所が高いなど危険な場合

  • 巣の直径が15cm以上になっている。
  • 巣が屋根裏、軒下、木の高い場所など、手の届かない高所にある。
  • 壁の中、床下、土の中など、巣の全体像が確認できない閉鎖的な場所にある。
  • 足場が悪く、安全な作業スペースを確保できない。

これらの場合、自力での駆除は非常に危険であり、落下事故や蜂の反撃に遭うリスクが高まります。

蜂の攻撃性が高い場合

  • 巣に近づくだけで蜂が威嚇してくる。
  • 常に多くの蜂が巣の周りを飛び回っている。
  • 夏から秋にかけて(6月~10月頃)など、蜂の活動が活発で攻撃性が増している時期。

特にスズメバチと見分けがつかない場合や、凶暴性の高いキイロスズメバチやオオスズメバチである可能性がある場合は、絶対に自分で駆除しようとせず、専門業者に依頼してください。

複数回刺された経験がある場合

過去に蜂に刺されたことがある人は、次に刺された際にアナフィラキシーショックを起こすリスクが高まります。
ご自身の安全のためにも、業者に依頼しましょう。

アシナガバチの種類が不明な場合(キアシナガバチなど)

アシナガバチの中にも、比較的攻撃性の高い種類(例:キアシナガバチ、セグロアシナガバチ)がいます。
種類が特定できず、行動パターンから危険を感じる場合は、専門業者に相談するのが賢明です。

専門業者選びのポイント

信頼できる専門業者を選ぶためには、以下のポイントを確認しましょう。

  • 実績と経験: ホームページなどで施工事例や実績年数を確認する。
  • 見積もりの明確さ: 作業内容、料金体系が明確で、追加料金が発生する条件なども事前に説明してくれるか。
    複数の業者から見積もりを取るのがおすすめです。
  • アフターフォロー・保証: 駆除後の再発保証があるか確認する。
  • 対応の速さ: 緊急時に迅速に対応してくれるか。
  • 保有資格: 「しろあり防除施工士」や「ペストコントロール技術者」などの資格を保有しているか(必須ではありませんが、知識の目安になります)。
  • 損害保険への加入: 万が一の事故に備えて、損害賠償保険に加入しているか。
  • 口コミ・評判: インターネット上の口コミや評判も参考にしましょう。

アシナガバチ駆除費用の目安

アシナガバチ駆除の費用相場は、巣の大きさ、場所、蜂の種類、作業の難易度などによって変動しますが、一般的には1万円~5万円程度が目安です。

巣の状況 費用相場 備考
巣が比較的小さい・低い場所 1万円~2万円程度 作業が比較的容易な場合
巣が大きい・高所 2万円~5万円程度 特殊な機材や高所作業車が必要な場合
屋根裏・壁の中など 3万円~5万円以上 構造物の破壊や修復が必要になる場合もある

費用の内訳の例:

  • 基本料金
  • 出張費
  • 薬剤費
  • 巣の撤去費用
  • 危険手当(高所作業など)
  • 再発保証(オプションの場合あり)

正確な料金は必ず見積もりを取って確認しましょう。
飛び込みの業者や、見積もり内容が曖昧な業者は避けるのが無難です。

アシナガバチの巣の特徴と見つけ方

アシナガバチの巣は、その形状や材質に特徴があります。

  • 形状: シャワーヘッドのような形や、お椀を逆さにしたような蓮の実状の形をしています。
    下から見るとたくさんの六角形の巣穴が見えます。
  • 材質: 木の皮や朽木などをかじり取り、唾液と混ぜて作るため、灰色や茶色っぽい和紙のような質感です。
  • 場所: 雨風をしのげる場所に作られることが多いです。
    • 軒下、ベランダ、窓の庇(ひさし)
    • エアコンの室外機や給湯器の裏
    • 木の枝、生垣、植え込みの中
    • 庭の物置や倉庫の中
    • 換気扇フードの中
  • 見つけ方:
    • 家の周りを定期的に点検する。
      特に春先は巣作りが始まる時期なので注意が必要です。
    • 蜂が同じ場所を頻繁に飛んでいるのを見かけたら、その近くに巣がある可能性があります。
    • 洗濯物や布団に蜂が止まっている場合は、近くに巣がないか確認しましょう。

初期の巣は小さく見つけにくいこともありますが、早期発見・早期駆除が重要です。

アシナガバチが寄ってくる原因と予防策

アシナガバチを駆除しても、再び巣を作られてしまうことがあります。
寄せ付けないための対策や、巣を作らせないための予防策を知っておきましょう。

蜂が寄り付きやすい場所・状況

アシナガバチは以下のような場所や状況を好んで巣を作ります。

  • 雨風をしのげる場所: 軒下、ベランダ、カーポート、物置の軒など。
  • 餌が豊富な場所: 庭木や植え込みにアブラムシやケムシなどの幼虫がいると、それらを狩るために集まってきます。
  • 人の出入りが少ない場所: 静かで安全だと判断すると巣を作りやすくなります。
  • 過去に巣を作られた場所: 同じ場所に再び巣を作ることがあります。

アシナガバチを寄せ付けない対策(苦手なもの)

アシナガバチが嫌がる匂いやものを利用して、寄せ付けないようにする対策があります。

  • 木酢液・竹酢液: 蜂が嫌う焦げ臭い匂いがします。
    希釈して巣を作られそうな場所に定期的にスプレーします。
  • ハッカ油・ミント系のアロマ: 清涼感のある強い香りを嫌います。
    水で薄めてスプレーしたり、アロマディフューザーで香りを拡散させたりします。
    効果の持続時間は短いので、こまめな使用が必要です。
  • 蜂よけスプレー: 市販の蜂専用の忌避スプレーも有効です。
    効果の持続期間を確認して使用しましょう。
  • 防虫ネット: ベランダや窓に細かい網目の防虫ネットを張ることで、物理的に侵入を防ぎます。

これらの方法は、あくまで予防策であり、すでに巣がある場合は効果が薄いことがあります。

巣を作らせないための対策

根本的に巣を作らせないためには、以下のような対策が有効です。

  • 定期的な点検: 特に4月~5月頃は、女王蜂が巣作りを始める時期なので、家の周りや庭木などをこまめに点検し、小さな巣のうちに発見・駆除します。
  • 殺虫剤の散布: 巣を作られやすい場所に、あらかじめ持続性のある殺虫剤(蜂用でなくても、一般的な不快害虫用のエアゾールでも一定の効果が期待できます)を定期的にスプレーしておくと、巣作りを抑制する効果があります。
  • 庭の手入れ: 庭木や生垣を剪定し、風通しを良くすることで、蜂が巣を作りにくい環境にします。
    また、蜂の餌となるアブラムシやケムシなどの害虫を駆除することも重要です。
  • 不要物の撤去: 物置や使っていない植木鉢など、蜂が巣を作りやすい場所を減らします。
  • 隙間を塞ぐ: 換気口や壁の隙間など、蜂が侵入して巣を作る可能性がある場所は、パテや防虫ネットなどで塞ぎます。

まとめ:安全なアシナガバチ駆除のために

アシナガバチの駆除は、ご自身で行うことも可能ですが、安全対策を怠ると大変危険です。
巣が小さい初期の段階であれば、適切な準備と手順を踏むことで安全に駆除できます。
しかし、巣が大きい、高所にある、蜂の攻撃性が高いなど、少しでも危険を感じる場合は、無理をせず専門の駆除業者に依頼しましょう。

アシナガバチの習性を理解し、寄せ付けないための予防策や巣を作らせないための対策を講じることで、蜂の被害を未然に防ぐことができます。
この記事で解説した情報を参考に、安全で安心な生活環境を守りましょう。


免責事項:

この記事はアシナガバチ駆除に関する情報提供を目的としており、駆除作業の安全性を保証するものではありません。
ご自身で駆除作業を行う場合は、自己責任において十分な安全対策を講じてください。
作業に不安がある場合や、危険が伴うと判断される場合は、専門業者にご相談ください。
アナフィラキシーショックなどの健康被害については、速やかに医療機関を受診してください。

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