シロアリ駆除|自分でできる?対応方法とプロに頼む費用・選び方

家を蝕むシロアリ。早期発見と適切な対策が、大切な住まいを守る鍵となります。この記事では、シロアリ駆除が必要な理由から、ご自身でできる範囲の対処法、そして専門業者に依頼する場合の費用相場や信頼できる選び方まで、シロアリに関するあらゆる疑問にお答えします。
読み進めることで、シロアリの脅威から家を守るための第一歩を踏み出せるでしょう。

目次

シロアリ駆除が必要な理由と放置のリスク

シロアリは、日本の住宅にとって非常にやっかいな存在です。彼らは木材を栄養源とするため、建物の構造材を食い荒らし、気が付かないうちに家を深刻なダメージに追いやります。放置すると、家の耐久性が著しく低下し、最悪の場合は倒壊のリスクすら生まれます。

シロアリによる建物への深刻な被害

シロアリの被害は、目に見えない場所で進行することが多いため、発見が遅れがちです。床下や壁の中、柱の内部など、普段人の目に触れない場所で木材を食害し続けます。特に被害が大きいのは、建物の基礎を支える土台や柱、梁といった構造上重要な部分です。これらの木材がシロアリによってスカスカにされてしまうと、地震や台風などの自然災害に対する耐力が激減します。

見た目には何の変化もないように見えても、内部では深刻なダメージが広がっている可能性があるのです。床がフワフワする、ドアや窓の開閉がしづらい、壁を叩くと空洞音がするなど、これらのサインはシロアリ被害の可能性を示唆しています。

シロアリの種類と生態

日本には20種類以上のシロアリが生息していますが、住宅に被害をもたらす代表的なシロアリは限られています。シロアリの種類によって生態や被害の特性が異なるため、適切な駆除方法を選ぶためには、どの種類のシロアリが侵入しているかを知ることも重要です。

日本でよく見られるシロアリの種類

日本で住宅被害の9割を占めるといわれるのが、「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」です。

  • ヤマトシロアリ: 北海道北部を除く日本全国に広く分布しています。湿った木材を好むため、風呂場や台所、洗面所などの水回りや、結露しやすい北側の壁、雨漏りしている箇所などに被害が出やすいのが特徴です。比較的小規模な集団で、加害速度はイエシロアリに比べて緩やかですが、被害箇所は広範囲にわたることがあります。活動が活発になるのは主に春先から初夏にかけてです。
  • イエシロアリ: 神奈川県以西の海岸沿い、千葉県南部、伊豆諸島、小笠原諸島、沖縄など、温暖な地域に多く分布しています。非常に大きなコロニーを形成し、水分を運んで乾燥した木材も加害できるため、被害の進行が速く、家全体に及ぶこともあります。乾燥に強いため、水回りだけでなく家のどこでも被害が発生する可能性があります。活動時期は主に夏です。

この他に、輸入木材などと一緒に持ち込まれる「アメリカカンザイシロアリ」や「ダイコクシロアリ」なども存在します。これらは乾燥した木材を好み、比較的少量でも被害が進行するため注意が必要です。

シロアリのライフサイクルと活動時期

シロアリは社会性の昆虫で、一つの巣の中に「女王アリ」「王アリ」「働きアリ」「兵アリ」「羽アリ(繁殖アリ)」といった階級(カースト)を形成しています。

  • 女王アリ・王アリ: 巣の中心であり、繁殖を担います。
  • 働きアリ: 木材の食害、巣の構築・修繕、他のアリへのエサ運びなど、コロニーの維持に必要なあらゆる作業を行います。住宅に被害をもたらすのは主にこの働きアリです。
  • 兵アリ: 外敵から巣を守る役割を担います。大きなアゴや頭部が特徴的です。
  • 羽アリ: 特定の時期になると発生する繁殖個体です。新たな巣を作るために古い巣から飛び立ちます(群飛)。

シロアリの活動は年間を通して行われますが、特に活発になるのは温度や湿度が適度な時期です。ヤマトシロアリの羽アリは主に4月~6月の昼間に、イエシロアリの羽アリは主に6月~7月の夜間に群飛します。この羽アリの発生は、近くにシロアリの巣がある、または家の中に被害が及んでいる可能性を示す重要なサインとなります。

シロアリ発生のサイン・初期症状と見分け方

シロアリ被害の初期段階でサインに気づくことが、被害を最小限に抑えるためには非常に重要です。以下のような異変を見つけたら、シロアリの発生を疑い、速やかに点検することをおすすめします。

柱や壁の異変

シロアリが木材の内部を食害すると、表面の薄い層を残して内部が空洞になります。

  • 叩くと空洞音がする: 柱や壁、床などを叩いてみた時に、他の場所と比べて軽い、あるいは空洞のような音がする場合、内部が食害されている可能性があります。
  • 押すと凹む: 木部を軽く押してみると、柔らかくなっていたり、簡単に凹んでしまったりする場合も危険なサインです。
  • 表面の変色やひび割れ: 木材の表面に原因不明の変色が見られたり、本来はなかったひび割れが生じたりする場合も、内部でシロアリが活動している可能性があります。

木くずや蟻道の発見

  • 木くず(フン): シロアリの種類によっては、食害した木材の粉(フン)を外部に排出することがあります。特にアメリカカンザイシロアリの場合、砂粒のような乾燥したフンを特定の穴から排出する特徴があります。ヤマトシロアリやイエシロアリのフンは木くずに似ていますが、土や排泄物と混ぜて「蟻道」を作るために使われることが多いです。
  • 蟻道(ぎどう): シロアリは光や風を嫌うため、移動する際に自分たちの分泌物と土や木くずを混ぜてトンネル状の道を作ります。これが蟻道です。基礎の立ち上がり部分や壁に沿って、土や泥でできた筋のようなものが見られたら、ほぼ間違いなくシロアリの通り道です。蟻道の中にはたくさんの働きアリが移動している可能性があります。

羽アリの発生

特定の時期(ヤマトシロアリは春~初夏、イエシロアリは夏)に、家の中からまたは家の周辺で大量の羽アリが発生するのは、近くにシロアリの巣があり、羽アリが群飛したサインです。特に家の中で羽アリを見た場合、家のどこかで既にシロアリ被害が起きている可能性が非常に高いです。羽アリ自体は数時間で羽を落として死んでしまいますが、これはシロアリ被害の「警告」と捉えるべきです。

シロアリとクロアリの見分け方

羽アリが発生した際に、それがシロアリの羽アリなのか、それとも単なるクロアリの羽アリなのかを見分けることは重要です。クロアリの羽アリであればシロアリのような木材食害の心配はありません。見分けるポイントは以下の3点です。

特徴 シロアリの羽アリ クロアリの羽アリ
触角 数珠状でまっすぐ くの字に折れ曲がっている
翅(はね) 4枚ともほぼ同じ長さ、体長よりかなり長い 前翅が後翅より長い、体長に対してさほど長くない
胴体 寸胴型で、くびれがない 胸と腹の間に明確なくびれがある

これらの特徴を参考に、落ち着いて観察してみましょう。もしシロアリの羽アリの特徴に当てはまる場合は、速やかに専門業者に相談することをおすすめします。

シロアリ駆除の主な方法

シロアリを駆除する方法には、ご自身で行うセルフ駆除と、専門業者に依頼する方法があります。被害の状況やシロアリの種類によって適切な方法は異なります。

自分でできるセルフ駆除の限界

市販のシロアリ駆除剤やスプレーなどを利用して、ご自身でシロアリを駆除しようと考える方もいらっしゃるでしょう。ホームセンターなどでも様々な製品が手に入ります。しかし、セルフ駆除には限界があることを理解しておく必要があります。

市販の薬剤について

市販のシロアリ駆除剤には、スプレータイプ、散布タイプ、毒エサタイプなどがあります。

  • スプレータイプ: 羽アリや見えているシロアリに直接噴射して殺虫します。一時的な対処にはなりますが、巣のシロアリ全体を駆除することはできません。
  • 散布タイプ: 床下などに薬剤を散布して予防や駆除を行います。専門業者用の薬剤に比べて効果が限定的であったり、薬剤を均一に散布するのが難しかったりします。また、散布には専用の機材や保護具が必要です。
  • 毒エサタイプ: シロアリが好むエサに毒を混ぜたものを設置し、働きアリに巣へ持ち帰らせて他のシロアリもまとめて駆除する方法です。効果が出るまでに時間がかかり、設置場所や種類を間違えると効果が出ない可能性があります。

一時的な対処にしかならない理由

セルフ駆除が一時的な対処に留まる主な理由は、シロアリの巣全体を根絶することが非常に難しいからです。シロアリの巣は家の床下や地面の中に深く、広範囲に広がっていることがほとんどです。目に見えているシロアリはごく一部の働きアリに過ぎず、女王アリや王アリ、大量の働きアリが巣の中に隠れています。

市販の薬剤は、目の前のシロアリを駆除することはできても、巣全体に効果を波及させたり、薬剤が届きにくい場所のシロアリを駆除したりするのは困難です。結果として、一時的にシロアリが見えなくなっても、すぐに再発してしまう可能性が高いのです。

また、シロアリの種類によっては特定の駆除方法が効果的でない場合もあります。例えば、乾燥した木材内で生活するアメリカカンザイシロアリには、地面や床下に薬剤を散布するバリア工法は効果が薄いです。

さらに、シロアリ駆除には専門的な知識と技術が必要です。薬剤の取り扱いは危険を伴う場合があり、適切な知識なしに行うと健康被害のリスクもあります。被害箇所を正確に特定し、最適な方法で巣全体を根絶するためには、専門業者に依頼するのが最も確実で安全な方法と言えるでしょう。

専門業者による駆除方法

専門業者に依頼した場合、被害状況やシロアリの種類に応じて、主に以下の駆除方法が用いられます。これらの方法は、セルフ駆除では難しい巣全体の根絶を目指すものです。

バリア工法(薬剤散布)

バリア工法は、建物の基礎や床下、被害箇所などに専用の薬剤を散布したり注入したりして、シロアリが建物に侵入できないように、あるいは建物内のシロアリを駆除する方法です。

  • 特徴: 即効性があり、比較的広範囲に対応できます。一般的なヤマトシロアリやイエシロアリの駆除・予防に広く用いられます。
  • メリット: 比較的短期間で施工が完了します。
  • デメリット: 薬剤を使用するため、種類によっては独特の臭いが発生する場合があります。また、薬剤の効果が切れると再度予防措置が必要になります(多くの保証期間は5年程度)。薬剤が届きにくい場所には効果が限定されることがあります。

ベイト工法(毒エサ)

ベイト工法は、シロアリの通り道や活動場所に、シロアリが好む毒エサ(ベイト剤)を入れた容器(ステーション)を設置する方法です。働きアリがベイト剤を巣に持ち帰り、他のシロアリ(幼虫や女王アリなど)にも分け与えることで、巣全体をゆっくりと駆除します。

  • 特徴: 薬剤を散布しないため、居住者やペットへの影響が少ないとされています。シロアリの生態を利用した方法です。
  • メリット: 建物内に薬剤を散布しないため、アレルギー体質の方や小さな子供、ペットがいる家庭に適しています。巣全体を根絶する効果が期待できます。臭いがほとんどありません。
  • デメリット: 効果が出るまでに数ヶ月から一年程度時間がかかります。定期的なベイト剤の点検・補充が必要です。バリア工法に比べて費用が高くなる傾向があります。

アメリカカンザイシロアリの駆除方法(燻蒸処理・熱風処理など)

ヤマトシロアリやイエシロアリとは生態が異なるアメリカカンザイシロアリには、上記のバリア工法やベイト工法が効きにくい場合があります。アメリカカンザイシロアリは乾燥した木材の中に小規模なコロニーを作って生活し、地面とは行き来しません。そのため、被害箇所を特定し、そこに直接アプローチする特殊な駆除方法が用いられます。

  • 燻蒸処理(全棟燻蒸): 家全体を特殊なシートで覆い、毒ガスを充満させて建物内部にいる全てのシロアリを駆除する方法です。最も確実な方法とされていますが、居住者は数日間家を空ける必要があり、費用も高額になります。この処理では、安全のために燻蒸終了後の残留ガス処理も重要な工程となります。(参考:住宅における化学物質の室内濃度に関する検討会資料
  • 熱風処理: 被害箇所にピンポイントで熱風を送り込み、高温によってシロアリを死滅させる方法です。薬剤を使わないのが特徴ですが、対象範囲が限られます。
  • 木部注入: 被害を受けている木材に直接薬剤を注入する方法です。被害箇所が限定的な場合に有効です。

アメリカカンザイシロアリは発見が難しく、自分で判断するのは困難です。疑わしい場合は、アメリカカンザイシロアリの駆除実績がある専門業者に相談することが重要です。

シロアリ駆除にかかる費用相場

シロアリ駆除を業者に依頼する場合、多くの方が気になるのが費用です。シロアリ駆除の費用は、被害状況、建物の構造、使用する工法、業者の料金設定などによって大きく変動しますが、一般的な相場を知っておくことは、見積もりを比較検討する上で役立ちます。

費用は面積(坪単価)で決まる

多くのシロアリ駆除業者は、建物の床面積(坪または平方メートル)に応じて駆除費用を算出します。これは、床下面積や壁面積、被害箇所など、駆除や予防処理を行う範囲が床面積に比例することが多いためです。

一般的なバリア工法の場合、1坪あたりの費用相場は8,000円~12,000円程度(消費税別)が目安とされています。これはあくまで目安であり、地域や業者の技術力、使用する薬剤の種類などによって価格は異なります。

ベイト工法の場合は、設置するステーションの数や点検頻度によって費用が変わるため、坪単価ではなく一式料金や年間管理費として提示されることが多いです。バリア工法に比べてやや高額になる傾向があります。

一軒家全体を駆除する場合の目安

一般的な木造住宅(約30坪~40坪程度)で、床下全体にバリア工法による駆除・予防処理を行う場合の費用目安は、30万円~50万円程度(消費税別)となることが多いです。

例えば、床面積30坪の家で坪単価1万円の場合、基本的な駆除費用は30万円となります。これに加えて、被害箇所の補修費用や、特殊な状況下での追加作業費用などが加算される場合があります。

追加費用が発生するケース

見積もりを比較検討する際には、基本料金だけでなく、追加費用が発生する可能性があるケースについても確認しておくことが重要です。

  • 被害箇所の補修費用: シロアリによって食害された柱や梁などの木材を交換・補強する場合、別途木工事費用が発生します。被害が深刻な場合は、この補修費用が高額になることがあります。
  • 床下の状況が悪い場合: 床下が狭い、高さがない、大量の障害物があるなど、作業が困難な場所は、追加料金が発生することがあります。
  • 特定のシロアリ(アメリカカンザイシロアリなど)の駆除: 特殊な工法(燻蒸処理など)が必要な場合は、費用が一般的な駆除よりも大幅に高くなります。全棟燻蒸の場合、100万円を超えることも珍しくありません。
  • 特定の場所のみの駆除: 部分的な被害箇所の駆除の場合、坪単価ではなく作業内容に応じた一式料金となることがありますが、割高になるケースもあります。
  • 深夜・早朝・休日対応: 緊急対応や時間外の作業を依頼した場合、追加料金が発生することがあります。

見積もりを取得する際には、何が含まれていて、どのような場合に別途費用が発生するのかを明確に確認しましょう。

無料点検・見積もりについて

多くのシロアリ駆除業者は、無料で建物のシロアリ点検や見積もりを行っています。これは、シロアリ被害の有無や程度を正確に把握し、最適な駆除・予防方法を提案するために不可欠なサービスです。

無料点検では、主に床下や水回り、玄関などのシロアリが発生しやすい箇所を目視で確認したり、打診器で木材の音を聞いたりして被害のサインを探します。点検結果に基づき、必要な作業内容とそれにかかる費用を詳細に記載した見積書が作成されます。

無料だからといって安易に契約するのではなく、複数の業者から見積もりを取り(相見積もり)、内容を比較検討することが重要です。見積もりの項目が明確か、説明は丁寧か、追加費用の可能性について説明があるかなどを確認しましょう。

失敗しないシロアリ駆除業者の選び方

シロアリ駆除は、建物の安全に関わる重要な工事です。信頼できる業者を選ぶことが、確実にシロアリを駆除し、再発を防ぐために最も重要です。悪質な業者に引っかからないためにも、以下のポイントを押さえて業者を選びましょう。

信頼できる業者の特徴

信頼できるシロアリ駆除業者は、以下の特徴を持っています。

  • 公益社団法人 日本しろあり対策協会または公益社団法人 日本木材保存協会に加盟している: これらの団体は、シロアリ防除に関する技術や知識の普及、薬剤の認定などを行っています。加盟している業者は、一定の技術基準や倫理規定を守っていると考えられ、信頼性が高い目安となります。業者のウェブサイトなどで加盟しているか確認できます。
  • 「しろあり防除施工士」などの資格保有者がいる: しろあり防除施工士は、シロアリ防除工事に関する専門知識と技術を持つことを証明する資格です。資格保有者が在籍している業者は、適切な施工が期待できます。
  • 豊富な実績と経験がある: 長年の経験を持つ業者は、様々な状況のシロアリ被害に対応した実績があり、より適切な判断や施工が可能です。
  • 点検・診断が丁寧で分かりやすい: 無料点検の際に、床下の状況や被害箇所を一緒に確認させてくれたり、写真や動画などで説明してくれたりするなど、状況を丁寧に説明してくれる業者は信頼できます。
  • 見積もりが詳細で明確: 作業内容、使用する薬剤、面積、単価などが分かりやすく記載されている見積もりを提示する業者は、信頼性が高いです。「一式」といった大雑把な見積もりは避けるべきです。
  • 保証制度がしっかりしている: 施工後のシロアリ再発に対する保証期間や保証内容が明確に定められているか確認しましょう。多くの優良業者は5年程度の保証を付けています。
  • 契約前に十分な説明がある: 駆除方法、費用、工期、保証内容、薬剤の安全性などについて、契約前に納得いくまで丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。

相見積もりの重要性

シロアリ駆除を依頼する際には、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。これを「相見積もり」といいます。相見積もりを行うことで、以下のメリットが得られます。

  • 費用の比較: 同じような作業内容でも、業者によって費用が大きく異なる場合があります。相見積もりによって適正な費用相場を把握し、不当に高い料金を請求する業者を見抜くことができます。
  • サービス内容の比較: 使用する薬剤、工法、保証内容、アフターサービスなどが業者によって異なります。複数の見積もりを比較することで、ご自身の希望や状況に合ったサービスを提供してくれる業者を選ぶことができます。
  • 業者の対応の比較: 点検時の説明の丁寧さ、見積もり提出の迅速さ、質問への回答の分かりやすさなど、業者の対応を比較することで、信頼できる業者かどうかを判断する材料になります。

目安として、3社程度の業者から相見積もりを取るのがおすすめです。ただし、あまり多くの業者から見積もりを取りすぎると、比較検討に時間がかかりすぎてしまうため、バランスを考えましょう。

保証内容の確認

シロアリ駆除の効果は、数年後に再発する可能性もゼロではありません。そのため、駆除後の保証制度は非常に重要です。契約前に必ず以下の点を確認しましょう。

  • 保証期間: 何年間保証されるのか。一般的には5年保証が多いです。
  • 保証内容: 保証期間内にシロアリが再発した場合、無償で再施工してくれるのか、被害の拡大に対する補償はあるのかなどを確認しましょう。
  • 保証の条件: 保証を受けるための条件(定期点検の有無など)や、保証対象外となるケース(増改築など)があるかを確認しましょう。
  • 保証会社の信頼性: 業者が倒産した場合でも保証が受けられるように、第三者機関による保証制度に加入しているかどうかも重要なポイントです。

保証内容は、業者の信頼性や施工に対する自信の表れでもあります。しっかりした保証を提示している業者を選ぶことで、万が一の再発時にも安心できます。

シロアリの予防対策

シロアリ被害は、早期発見と早期対応が重要ですが、そもそもシロアリが寄り付きにくい環境を作るための予防対策も非常に大切です。日頃からできる簡単な対策と、専門業者による予防処理について解説します。

日頃からできる簡単な対策

シロアリは湿気を好み、木材を求めてやってきます。以下の点に注意して、シロアリが住み着きにくい環境を維持しましょう。

  • 床下の換気を良くする: 床下は湿気がこもりやすい場所です。換気口を塞がないようにし、定期的に通風を心がけましょう。床下換気扇の設置も効果的です。
  • 家の周りの整理整頓: 庭に放置された木材、段ボール、落ち葉などはシロアリの隠れ家やエサになります。これらをこまめに片付けましょう。植木鉢なども直接地面に置かず、台に乗せるなどで風通しを良くします。
  • 雨漏りや水漏れを放置しない: 家の雨漏りや水漏れは、木材を湿らせ、シロアリにとって最適な環境を作り出してしまいます。発見したら速やかに修理しましょう。
  • 基礎や外壁のひび割れを補修する: 基礎や外壁のひび割れは、シロアリの侵入経路となる可能性があります。小さなひび割れでも見つけたら補修しておきましょう。
  • ウッドデッキやフェンスのメンテナンス: 地面に接しているウッドデッキや木製のフェンスは、シロアリ被害に遭いやすい場所です。定期的に点検し、腐食が進んでいる場合は補修や交換を検討しましょう。防腐・防蟻塗料を塗るのも効果的です。
  • 風呂場や台所の湿気対策: 浴室やキッチンは特に湿気がこもりやすい場所です。入浴後は換気をしっかり行う、水滴を拭き取るなど、日常的な湿気対策を心がけましょう。

これらの対策は、シロアリだけでなく、他の害虫や腐朽菌の発生を防ぐためにも有効です。日頃から家のメンテナンスに意識を向けることが、結果として大きな被害を防ぐことにつながります。

薬剤処理による予防

新築時や前回のシロアリ駆除から一定期間が経過した場合、専門業者による薬剤処理(防蟻処理)を行うことも有効な予防策です。

一般的な予防処理は、建物の基礎や床下にシロアリが忌避する効果や殺虫効果のある薬剤を散布・注入することで、シロアリの侵入を防ぐバリアを形成します。使用する薬剤の種類や施工方法によって効果の持続期間は異なりますが、多くの場合は5年間の保証が付いています。

特に、木造住宅の建築基準法では、地面から1メートル以内の構造上重要な木材に対し、シロアリ対策が義務付けられています。新築時には必ず防蟻処理が行われていますが、その効果は永続的ではありません。保証期間が切れる頃に、再度の予防処理を検討することをおすすめします。定期的な点検や予防処理は、家を長持ちさせるための重要な投資と言えるでしょう。

シロアリ駆除が必要ないケースはある?

シロアリの発生サインを見つけたと思っていても、実はシロアリではなかったり、必ずしも駆除が必要ない状況であったりする場合もあります。誤った判断で不必要な対応をしないためにも、以下の点に注意しましょう。

誤解されやすい状況

  • クロアリの羽アリだった: 前述の「シロアリとクロアリの見分け方」でも説明しましたが、羽アリを見かけた際に、それがシロアリではなくクロアリの羽アリだった場合、木材を食害する心配はありません。クロアリの巣は建物の外にあることが多く、屋内に侵入しても一時的なものです。この場合は、駆除が必要ない、または簡単な殺虫剤で対処できることが多いです。
  • 既に死滅している場合: 過去に被害があった箇所で、すでに活動が停止している場合もあります。ただし、これは素人判断が難しく、本当に完全に死滅しているのか、あるいは別の場所に巣を移しただけなのかを正確に判断するためには、専門家の診断が必要です。
  • 被害が建物の構造に影響しない場所で限定的: 例えば、庭に置いた古木や使っていない物置など、建物の主要構造に関係ない場所での被害が限定的である場合は、直ちに大規模な駆除が必要ではないと判断されるケースもあります。しかし、そこから建物本体へ被害が広がる可能性も考慮し、適切な対策を検討する必要があります。

最も重要なのは、自己判断に頼りすぎないことです。 シロアリの専門家は、被害のサインを正確に判断し、シロアリの種類や被害の範囲、活動状況を見極めるプロです。少しでも不安を感じたり、シロアリらしきものを見つけたりした場合は、まずは信頼できる専門業者に無料点検を依頼することをおすすめします。専門家の目でしっかり診断してもらうことが、適切な対応への第一歩です。

シロアリ被害を放置するとどうなる?何年で家がダメになる?

シロアリ被害を放置することの危険性は非常に高く、最悪の場合、住み続けることが困難になるほど建物が劣化する可能性があります。

薬剤効果が切れる時期と再発リスク

多くのシロアリ駆除・予防の薬剤効果は、施工後約5年で切れるとされています。効果が切れたにも関わらず、その後のメンテナンスや再施工を行わずに放置すると、再びシロアリが侵入し、被害が再発するリスクが非常に高まります。

特にヤマトシロアリやイエシロアリは、日本の気候環境に適応しており、一度被害に遭った場所や周辺は、シロアリにとって住みやすい環境である可能性が高いです。再発した場合、前回の被害箇所とは別の場所で新たな被害が進行することも十分に考えられます。

建物の耐久性への影響

シロアリは木材を内部から食い荒らしていくため、被害が進行すると建物の構造材(柱、梁、土台など)の強度が著しく低下します。食害された木材はスカスカになり、本来家を支えているはずの力が失われてしまいます。

被害の進行速度は、シロアリの種類(イエシロアリの方が速い傾向がある)、建物の環境(湿気や温度)、被害箇所の重要度などによって異なりますが、数年で建物の主要な構造材が深刻なダメージを受け、耐震性や耐久性が大きく損なわれる可能性があります。例えば、阪神・淡路大震災では、シロアリ被害を受けていた家屋が倒壊しやすかったという報告もあります。

シロアリ被害は、単に木材を食べるだけでなく、建物の寿命を縮め、資産価値を低下させる深刻な問題です。「何年で家がダメになる」と一概には言えませんが、被害が発見された場合は、数ヶ月から数年で深刻な状態になる可能性も十分にあります。

シロアリ駆除に関するQ&A

シロアリ駆除に関して、よくある質問とその回答をまとめました。

シロアリは自分で駆除できますか?

市販の薬剤を使えば、目に見えているシロアリや羽アリを一時的に駆除することは可能です。しかし、シロアリは建物の内部や床下、地面の中に巣を作っており、その巣全体を根絶することは専門的な知識と技術がなければ非常に困難です。セルフ駆除では根本的な解決にはならず、再発のリスクが高いため、信頼できる専門業者に依頼することをおすすめします。不適切な薬剤の使用は、シロアリを分散させて被害を拡大させたり、健康被害を引き起こしたりするリスクもあります。

一軒家のシロアリ駆除費用はいくらくらいですか?

一般的な木造一軒家(約30坪~40坪)で、床下全体にバリア工法による駆除・予防処理を行う場合の費用相場は、30万円~50万円程度(消費税別)が目安です。費用は建物の床面積(坪単価)、被害状況、使用する工法、業者によって大きく変動します。被害箇所が限定的であったり、特別な工法が必要であったりする場合は、費用が異なることがあります。正確な費用を知るためには、複数の業者から無料点検・見積もりを取ることが重要です。

アメリカカンザイシロアリの駆除方法は?

アメリカカンザイシロアリは乾燥した木材内にコロニーを作るため、ヤマトシロアリやイエシロアリに用いられるバリア工法やベイト工法は効果が限定的です。主な駆除方法としては、家全体をシートで覆ってガスで燻蒸する「全棟燻蒸処理」、被害箇所に熱風を送り込む「熱風処理」、被害木材に直接薬剤を注入する「木部注入」などがあります。どの方法が適しているかは被害状況によりますが、全棟燻蒸は最も確実性が高い反面、費用も高額で家を数日間空ける必要があります。アメリカカンザイシロアリの駆除は専門性が非常に高いため、実績のある業者に依頼することが不可欠です。

シロアリは何年で家をダメにしますか?

シロアリの種類や建物の環境、被害箇所の重要度によって異なりますが、被害が深刻な場合、数ヶ月から数年で建物の構造耐力に影響が出る可能性があります。 特にイエシロアリのように大きなコロニーを作り、加害速度が速い種類の場合は、被害の進行が非常に速いです。土台や柱といった重要な部分が集中して食害されると、短期間で建物の安全性が損なわれるリスクがあります。シロアリ被害を発見したら、「まだ大丈夫だろう」と放置せず、速やかに専門業者に相談することが大切です。早期発見・早期対応が、家へのダメージを最小限に抑える鍵となります。

シロアリ駆除・対策は専門業者にご相談ください

大切な住まいをシロアリの脅威から守るためには、シロアリに関する正しい知識を持ち、早期に適切な対応をすることが何よりも重要です。

もし、ご自宅でシロアリの発生サインらしきものを見つけた場合や、前回のシロアリ対策から5年以上経過している場合は、まずは信頼できる専門業者に相談することをおすすめします。多くの業者が無料での点検や見積もりを行っています。

専門家による正確な診断と、被害状況に合わせた最適な駆除・予防方法の提案を受けることで、安心してシロアリ対策を進めることができます。相見積もりを取り、納得のいく業者を選びましょう。

シロアリ被害を放置することは、建物の寿命を縮め、将来的に多額の補修費用が発生するリスクを高めることに繋がります。早期の点検と対策が、家族が安心して暮らせる住まいを守るための最善策です。


免責事項
この記事の情報は一般的な知識に基づいて作成されており、個別の状況に対する専門的なアドバイスを保証するものではありません。シロアリ被害の正確な判断や駆除・予防方法については、必ず専門業者にご相談ください。

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