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マンション水漏れで使える保険とは?火災保険が適用される条件

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マンション水漏れで使える保険とは?火災保険が適用される条件

説明 マンションやアパートのような共同住宅で起こる代表的なトラブルの一つが水漏れなどの漏水事故です。水漏れが起こる原因にもよりますが、加害者と被害者がいるような事故になると複雑なトラブルに発展することもあります。そうなってしまうと今後のご近所付き合いにも影響が出てしまいます。マンションやアパートでは火災などよりはるかに頻度が高いと言われているのが水漏れ事故です。今回は、マンションやアパートにおける水漏れ事故について、保険による対処法を解説します。

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保険を使うためには原因の特定が必須

水漏れ事故が発生した際に最初にしなければならないことは、水漏れの原因を特定することが必須となってきます。なぜかというと、保険を使うにしても原因が不明なままでは、「誰が契約している保険の」「どの補償を」使えばいいのか決まらないからです。

そして原因次第では一部保険金の支払い対象にならないものが出てきますので、早めに水漏れの原因を特定することが大切になってきます。原因がはっきりしなければ、上から水が漏れてくるからと言って必ずしも上の階に住んでいる人に責任があるとは言えません。

事故原因を調べてみると、共用部分の設備に不備があった、ということになれば管理組合が責任を問われることもあります。

よくある水漏れ事故の原因

水漏れの原因箇所について簡単にまとめると下記の3つです。


  • ・上階の専有部分から水漏れ
  • ・共用部分から水漏れ
  • ・雨漏りや吹き込み

それぞれ水漏れ事故の発生原因の主体が異なりますので、保険金を支払う契約や補償も変化します。原因を特定するために管理組合の保険などに「原因調査費用」などの特約が必須となっています。

水漏れの原因を特定できない場合

水漏れ事故の際に一番困るのは当然被害を直接受けている人です。原因が分からなければ火災保険に加入していても損害保険会社も保険金を支払いようがありません。また誰の責任か分からないのに上階の居住者に賠償を求めるわけにもいきません。

その場合、専門家による原因調査が必要になりますが、当然費用がかかってしまいます。そこで必要になるのが「水濡れ原因調査費用補償」です。

水濡れ原因調査費用補償

簡単に説明しますと「水漏れの原因箇所を特定するための補償」です。被害者が管理会社に連絡した後、専門業者を手配し被害箇所の調査を行います。

例えば洗濯機のホースが外れたことが原因といった上階の方の不注意の場合は特定が簡単ですが、給水管・給湯管・排水管などの床下などにある配管が原因だった場合には床面を剥がすなどの作業を伴うため特定が容易ではありません。そして当然費用も発生します。

その費用の補償をするのがこの「水濡れ原因調査補償」です。床面を剥がして原因箇所を特定し、剥がした床部分の復旧(点検口にするなど)までが補償となります。

雨漏りや吹き込みなどの場合はそもそも火災保険では保険金の支払い対象外の事案となりますが、やはり原因を特定するための原因調査が必要です。雨漏りであっても原因調査した費用は支払われます。

同じ箇所から何度も水漏れが起きる場合

マンションやアパートなど共同住宅は建てられてから10年、15年も経ってくると設備が老朽化してきます。共用部分の給排水管の不備で水漏れが発生した場合は、老朽化によるものであればきちんと修繕しない限り、何度も同じところから水漏れが起こる可能性があります。

そして、きちんと修理をしなかったため何度も同じところから老朽化などが原因で水漏れが起きた場合、保険会社から事故性がないとみなされて支払いを拒絶されるケースもあります。

一般的にさび、瑕疵(当事者の予期するような状態や性質が欠けていること)などは保険の対象にはなりません。事故が起きた際に修理しないということは普通であればないと思いますが、大事なことですので覚えておきましょう。

支払われる保険を把握する

実際に水漏れトラブルに対応している保険は「損害補償」と「火災保険」があります。具体的にどんな保険なのかご説明していきます。

損害賠償

  • マンション管理組合:施設賠償責任保険
  • 居住者:個人賠償責任保険 等

上記2つの保険は、管理組合専用の保険の特約で加入できるようになっています。個人賠償責任保険は専有部分の火災保険や自動車保険などにも特約があります。

原因調査費用については、管理組合で一括して加入する保険であれば付帯(もしくは特約で補償を追加)されています。

しかし、原因調査費用は年間で原因調査費用の上限が決められているケースが多いため、金額の確認をしておくことも忘れずにしてきましょう。

そして、水漏れの原因となったそのものの修理(例えば給排水管の修理費など)などは対象外ですので注意しましょう。

個人賠償責任保険などは本来であれば所有者個人で加入するものです。しかしそうすると必ずしも所有者個人が保険に加入するか分かりませんし、事故の際に被害者とトラブルになりかねません。そうした背景もあり、マンション管理組合でも特約で一括加入できるようになっています。

火災保険

被害が続いている状況では、水漏れを何とかしないと被害者側はたまったものではありません。水漏れ事故で加害者がすぐに損害賠償してくれないような状況にある場合、契約している保険の内容にもよりますが、被害者側が自分の火災保険などでとりあえず修理を進めるということも考えられます。

管理会社や管理組合、自分の加入している保険会社等に相談してみましょう。自分が被害にあったときに保険がどこに(専有部分、共用部分)、何を対象に(建物、家財)、どんな内容の保険になっているのかは必ず確認しておくことが大切です。

マンションの管理組合の保険の最近の傾向

老朽化したマンションの水漏れ事故が多発するなど、水漏れ・漏水事故の増加傾向があり、2015年10月に火災保険の改定がありました。マンション管理組合として、水漏れに対応した賠償責任保険の補償や原因調査費用の付帯は必須です。

現状のマンションの管理組合の保険には、古いマンションほど保険料率が高くなっていく「築年数別料率」を各社適用し始めています。

水漏れ事故の被害者になったときに知っておくべきこと

専有部分あるいは共用部分からの水漏れ、漏水で自分が被害者になることもあると思います。その場合は加害者側の賠償責任保険で損害賠償してもらうことになります。

水漏れ事故であれば、基本的には物損事故です。覚えておくべき事として対物賠償する場合の基本的な考え方は時価賠償です。

例として水漏れでパソコンが壊れてしまったとします。損害賠償はパソコンの時価で計算します。つまり購入時の新品ではなく、使用した年数分を考慮した価格になります。相手から損害賠償を受けるときのベースとして覚えておくと良いでしょう。

自分の保険を利用するとお得になる場合もある

自分が加入している火災保険を利用するケースもあると覚えておきましょう。そして昨今の火災保険の内容は時価ではなく、再調達価額(新価)で契約しているのが一般的です。

上記のパソコンの例だと、加害者の損害賠償は時価でされるが、自分の火災保険は新価で計算されることになります。

つまり相手との損害の計算に差額が生じてしまいます。被害が小さければ大した金額にはなりませんが、それなりに損害があった場合、差額もなかなかの大きさになります。自分が契約している火災保険の内容を契約書や保険会社に確認するなどして、万が一のときに備えて準備しておきましょう。

火災保険を使った修理にまつわる詐欺に注意

火災保険があれば安心と思ってしまいますが、ここ数年急増する住宅のリフォームや修理に関わるトラブルや詐欺と火災保険の関係についてお話しします。

少し前の話になりますが、独立行政法人国民生活センターによると、「保険金が使える」という住宅修理サービスのトラブルに関する相談件数が近年急増しています。2010年度115件だった相談件数は2013年度に707件と、6倍を超える数になっています。


【独立行政法人国民生活センター 「保険金が使える」という住宅修理サービスのトラブルにご注意ください!】


『画像引用:独立行政法人国民生活センター 2014年6月27日公表 http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140627_1.html』

火災保険は損害を元に戻すために支払われる

業者のチラシや勧誘で危険な言葉は「火災保険でリフォーム」などという謳い文句です。火災保険で補償されるのは、あくまで損害を受けてそれを原状回復するケースです。リフォームと修理とは全く異なるものです。火災保険を使ってリフォームはできませんので覚えておきましょう。


  • 修理=損害を受けた住宅などを元の状態に戻す
  • リフォーム=改築や改装。既存のものの質を上げる

他にも「無料で住宅の修理ができる」などと甘い言葉があっても、火災保険の支払い対象であればその業者に依頼しなくても、もともと無料です。これに関してはご自分が加入されている保険内容をしっかりと把握しておくことで回避することができます。

また、修理といっても火災保険で対応するのは自然災害や事故(火災など)に起因して損害が発生したものが対象です。単純な劣化であれば火災保険の支払いの対象外です。無料で修理と言われて契約したとしても、全額が火災保険の支払い対象でなければ、残りは自己負担することになってしまいます。損害の原因が自然災害で間違いなければ、損害保険会社や保険代理店などにまずは相談してみてから火災保険の請求をしましょう。

詐欺に巻き込まれないためにできること

始めにできることとしてリフォームや修理における契約を簡単にはしないようにしましょう。契約させられそうになったら「知人が同じような修理をしたので一度相談してみる」と言っていったん断るようにしましょう。相手も言葉巧みに急いで契約させないと後悔するようなことを言って焦ってしまうかもしれませんが、必ず落ち着いて検討できる間を空けることが大切です。

実際に損害が発生しているのであれば、保険金の請求を行うので損害保険会社あるいは契約している保険代理店などにも早めに相談しましょう。本当に保険金の請求が必要なら、良心的な保険代理店であればすぐに動いてくれるはずです。

集中豪雨や台風、大雪や地震など、こうした災害があった直後に被災地域へ勧誘にくる場合もありますので注意が必要です。特に被災した場合、じっくり考えている気持ちの余裕がないことが普通だと思いますが、こんなトラブルもありうるということをぜひ日頃から認識しておいて頂けると幸いです。

火災保険の請求は誰がするのか?

詐欺を働く悪徳業者は、始めは非常に優しい対応をしてくれます。

「保険金の請求書類を書くのって難しいですよね、私があなたに変わって保険会社に保険金の請求をしますよ」

「弊社にまかせてもらえれば、なんと無料で住宅の修理ができますよ」

業者はこのように色々と優しいことを言ってくると思いますが、そもそも保険金の請求は基本的に契約者や被保険者が行うものです。他人が行うものでもありません。また、保険金の請求書類を書くにはそんなに難しいものではありませんので安心して下さい。

火災保険の支払い事由に該当すれば、そもそも修理代は保険金でカバーされるので無料なのは当たり前です。(免責金額の設定などがある場合は一部実費になる場合もあります)

火災保険の請求方法

保険金を受け取るまでの火災保険の請求の流れは、下記のような流になっています。


  1. ①保険会社に「保険金を請求したい」と、電話をする。
  2. ②請求に必要な書類を送付してもらう。
  3. ③請求に必要な書類を揃えて提出する。
  4. ④保険会社が審査を行い、支払い金額を決定する。
  5. ⑤保険金を受け取る。

損害が発生し、保険金が必要になった時はまず、保険会社へ電話をして、損害が起きたこと、その理由などを伝えます。保険会社は、請求に必要な書類一式を契約者へ送付します。契約者はその書類を確認して下記でご紹介する、請求に必要な書類を全て揃えた後、保険会社へ送付します。保険会社はその書類を確認・審査をし、保険金額を決定します。そして最後に、契約者は口座振込などによって保険金を受け取ることができます。

保険金の請求に必要な書類

火災保険は、保険会社と契約者の2名で完結するものではありません。修理業者に修理を依頼し、受け取る見積書が必要となります。つまり、第三者も関係してくることを覚えておきましょう。保険金の請求に必要な書類は、主に以下のようなものが必要になります。


  • ・保険金請求書
  • ・印鑑証明書
  • ・事故内容報告書
  • ・建物登記簿謄本
  • ・修理見積書
  • ・損害明細書
  • ・写真

保険金請求書は、保険会社から用紙が送付されますので、そちらに必須事項を記入します。捺印をする必要がありますが、請求金額が1,000万円といった高額で一定の金額を超える場合は、認印ではなく実印を押印することになります。そして実印の証拠として、地区町村役場にて印鑑証明書を発行してもらい、同時に送付する必要があります。

事故内容報告書や、家財に対して損害が生じた場合に必要な損害証明書は、別の用紙を使って自分で書くこともできますが、基本的には白紙の用紙が保険会社から送られてきます。保険会社が知りたい項目について、きちんと内容を知らせるために、保険会社からの用紙を使用したほうがいいでしょう。

修理見積書には、修理にかかる結果的な金額のみならず、修理に使用する材料名や数量、単価などについても記載する必要があるので注意してください。また、写真については補償の対象物全体と、損害部分が分かるように撮影するようにしましょう。

良心的な業者であれば見積書は細かく記載してくれると思いますが、火災保険で使いたいと伝えれば業者もすぐに理解できますので、先に伝えておきましょう。

他にも、請求人が契約者と異なる場合には委任状が必要となったり、請求金額によっては建物登記簿謄本が必要となったりします。また、請求する契約者が法人の場合には法人代表者資格証明や商業登記簿謄本が必要となることもあります。

保険内容によっては必要な書類が多少異なる場合もありますので、契約している保険会社などに予め確認しておくことが大切です。

火災保険が出るかは鑑定人が判断する

業者の中には「保険会社とうまく交渉して請求する」と言って、いかにも頑張ってくれる親切な業者だと思わせる業者もいますが、そんな話はそもそもありませんので気を付けましょう。

劣化による損害は保険金の支払い対象外になりますが、損害の確認が必要な場合は、損害保険鑑定人と呼ばれる人が現場にやってきます。

彼らはプロですから損害箇所を見れば、例えば自然災害による損害か、単純な劣化によるものなのかは確実に特定することができます。損害の原因についても、「半年前にあった台風で壊れたことにする」など事実に基づかないことをすると、詐欺に加担することにもなりかねませんので注意しましょう。

まとめ

建物の水漏れは経年劣化ではなく、自然災害や事故(火災など)に起因して損害が発生したものであれば、火災保険を適用して修理することができます。火災保険を利用した悪徳修理業者もいますが、ご自分が契約している保険内容をしっかりと把握しておくことで、ほとんどのトラブルを回避することができます。心配であれば保険会社や代理店などに相談することでも教えてもらえますので、保険内容をしっかりと理解して、万が一のときにスムーズに手続きができてトラブルが無いようにするために備えておきましょう。

生活救急車 編集部
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詳しく書かれていて解りやすかった。